事業所の従業員が常時10名以上になりますと、就業規則を作成し、労基署に提出し、事業所に備え置かなければなりません(労基法89条)。
10名未満の事業所でも、就業規則がないと従業員との関係で不都合が生じかねません。
例えば、不祥事を起こした従業員への懲戒処分は就業規則がないとできません。特に、社外での私生活上の不祥事を理由とした懲戒処分などは就業規則がないとほぼ不可能です。
しかし、中小企業では、「大昔に社労士さんか税理士さんにひな形のような就業規則をもらって置いている」というようなことも多くあります。
そのため、昨今のパワハラの問題に対応できていなかったり、情報管理についての規定がなかったりすることも非常に多くあります。
特に、今日は、社会のIT化が進むにつれ、情報の管理が非常に重視されるようになっております。
例えば、会社で預かる個人情報の取り扱い、会社の機密情報の持ち出し、さらには社員個人でのSNSでの活動など、就業規則が作成された当時には考えもしなかったような問題が、大量に発生しています。弁護士は労働事件だけでなく、個人情報保護の問題やSNSを巡る誹謗中傷の問題などにも通じておりますので、このような部分についての就業規則の見直しにはうってつけです。
また、少子高齢化対策として、介護や育児の分野では法律の改正が頻繁に行われており、数年前の就業規則が時代遅れになっていることもよくあるところです。
そのため、就業規則は早めに作成することはもちろん、作成後も定期的に見直すことで、時代の変化に対応してゆく必要があります。
また、就業規則の変更は、労働条件の変更にも該当します。「労働条件を変更したい」でも述べましたが、労働条件の不利益変更には厳しい条件があり、判例を理解した上で、バランスよく変更する必要があります。
そこで、就業規則の作成、見直しを弁護士に依頼し、労働条件の不利益変更の問題などをクリアしながら、社会情勢にあった就業規則を整えていくべきです。