契約書のリーガルチェックは、誰にでもできるように思えて、意外と奥の深い業務です。
会社経営者の方や担当者の方も、よほど特殊な契約でもない限り、「読んだが意味が分からない」ということはないと思われます。
しかし、契約書案には必要な条項が抜けていたり、不利な条項が潜んでいたりすることは稀ではありません。そのため、初めて締結するような契約書は、専門家によるチェックを受けられることをお勧めします。
もちろん、世の中には契約書のひな形は沢山あり、インターネットを使えば、無料で契約書案を得ることも可能です。
しかし、同じ売買契約でも、例えば安価で大量の生鮮品と、オーダーメイドの精密機械では、警戒すべき条項が全く異なり、安易にひな形に頼るのは失敗のもとです。
そのため、会社が「普段何を作って売っているのか」「どんな仕事をして、サービスを提供しているのか」という点だけでなく、「どのような点で問題が起きやすいのか」という点について、貴社の事業について普段からよく知っている弁護士なら、会社の事業内容に適格な契約書の作成やチェックが可能です。
また、契約書がどのようなものになるかは、相手方との交渉との兼ね合いもあります。
例えば、どうしても契約を結びたい相手に対して、いきなり極端に自社有利な契約書を突きつけると不信感を持たれてしまい、得策ではありません。
また、滅多に起こらないニッチな問題について定めた条項に関し、相手方の譲歩を引き出すのに労力を使ってしまい、それとバーターで不利な条項を飲ませられた、というのは交渉としては失敗です。契約交渉には力点を置くべき点が契約毎に異なるのです。
その他のテクニックとしては、「民法の規定に従った場合、こちらに有利な場合は何も規定しないで放置する」などという方法もあります。
ですから、顧問弁護士に契約書関係の仕事を依頼する際には、単なるチェックではなく、契約締結交渉をリアルタイムで相談し、契約交渉の力点を確認しながら、相手との契約を作り上げてゆくというのが、良い法務経営といえるでしょう。