1 日弁連の旧基準ベースは5万円
現在、顧問弁護士の顧問料は様々ですが、一般的な相場は月額5万円以上(税抜)とされております。これは日本弁護士連合会がかつて定めていた規定に基づくもので、多くの弁護士はこれを踏襲していることによります。もっとも、この日弁連の規定は撤廃されたこともあり、現在、顧問料の相場は若干下がっていると体感しております。
2 極端に安い設定は、、
他方、近年は月額10,000円や5,000円の顧問料で、顧問契約を設定している新興系の法律事務所も見受けられます。確かに、法律的なトラブルは必ず起きるとはいえず、必要かどうかわからない顧問弁護士に支払う費用はできる限り少なくしたいとの考えも理解できるところです。
しかし、このような極端に安価な顧問契約では、法律相談や契約書チェックは別料金であるとされていたり、一か月あたりの弁護士の応対時間が厳密に決まっていて、それを超えると追加料金が発生したりするなど、結局のところ会社の支払い額が大きくなることもよくあります。
また、追加料金の課金を気にして、相談すべきことを相談しそびれたりしては、何のための顧問弁護士かよく分からないことになりかねません。
さらに言えば、5,000円から10,000円の安価な顧問料を設定している法律事務所は、とにかく多数の顧問契約を獲得することで、1社あたりの顧問料はたとえ安価でも、多数の顧問契約を得ることをビジネスモデルとしています。
そのため、個々の顧問先の事業内容や社風、経営者の理念に対してはともすれば無関心になりがちではないかと危惧しております。
顧問弁護士の一番のメリットは日常的な相談、もしくは相談とも言えないような経営者との雑談を通じて、会社の事業の様子や社風を把握し、会社にあったオーダーメイドの方針を提案できることにあると思います。
ですから、安い保険のようなイメージで顧問料の安い法律事務所に顧問をご依頼されることが良いとはいえません。
また、保険と違い、弁護士にも個性があります。私のようなタイプを気に入っていただき、顧問契約を締結してくださる方もいれば、私と全く異なるタイプの弁護士を信頼しておられる方も当然おられます。こればかりは相性としか言いようがない部分です。弁護士と話し込む事態は、ほぼ間違いなく「晴れ」の状況ではありません。ですから、価格のみならず、その弁護士の個性にも注目して「しんどい時」に話ができそうかといった観点からも顧問弁護士を選んでいただければと思います。