労働者を雇用すると、労使トラブルの可能性は常に存在します。会社に合わない方を雇ってしまったり、元々は真面目な従業員だったのに、心身の不調を起こしたりと経営者の方が簡単に予防できないことも多々あります。
特に、会社が大きくなり従業員数が増えてくると、今まで全く発生してこなかった労使トラブルが急に続発することがあります。
もっとも、労使トラブルと一言で言っても、従業員の不満や、従業員との対立があるという場面から、金銭要求を受けている、弁護士や労働組合が介入してきている、訴訟になったという場面までトラブルの深度は様々です。
私は、おおよそ労働者と経営者は利害が対立する以上、双方に何らかの不満があったり、潜在的な対立があったりするのは当たり前で、小さなトラブルは甘受するべきであると考えております。
ただ、防止するべきは、会社の経営に影響をあたえるような重大な労使トラブルや、経営者の方が過度に時間や手間を取られるような労使トラブルです。
そして、これらの大きな労使トラブルは、小さなトラブルへの対応を間違えたときに発生しています。
例えば、ミスを繰り返す従業員に注意するのは小さなトラブルです。繰り返されるミスに腹を立てるのも人間である以上やむを得ないでしょう。
しかし、腹立ちまぎれに経営者が暴言を吐いたり、過度に叱責した結果、パワハラを主張されたり、パワハラが原因のうつ病での労災を主張されたりして、法的紛争、大きなトラブルになることがあります。
また、ミスを繰り返す従業員が能力不足だとして、突然解雇してしまった結果、解雇無効を主張され、裁判沙汰になることもあります。
ですから、小さなトラブルを小さく終わらせるために、弁護士と随時相談できる体制を整えていただきたいと思います。
弁護士であれば、ミスを繰り返す従業員に会社を辞めてもらうにしても、いきなり解雇ではなく、退職勧奨に応じてもらうなどのソフトランディングをアドバイスできます。