1 事前の準備が明暗をわけます
債権回収、特に売掛金の回収は会社の資金繰りに関わる問題であり、単に「貸した金が返ってこない」というのとは全く異なる問題であると私は、考えております。
そのため、債権回収は、「迅速」に、「確実」にが重要になります。
もっとも、債権回収は、「相手が期限に払ってこないけどどうしようか?」というスタンスで臨むと、「相手の資力」や、「こちらが回収を待てるか」に影響されてしまい、「迅速」「確実」な回収はできません。資力のない相手方に裁判所で判決をもらっても、紙切れ同然ですし、こちらの資金繰りの問題から裁判での回収を待てなければ、ディスカウントしてでも早期の回収を図らなければならない場面があるからです。
そのため、債権回収は事前の準備で決まることも多いのです。
例えば、売掛金の内容を示す契約書、注文書、請書、納品書などを事前に整備できていれば、裁判手続の中で最も迅速な仮処分手続が取れ、回収を目指すことができます。仮処分手続は債権者の言い分だけを聞いて発令する手続であるため、これらの書類が整っていないと裁判所は債権の存在に確信が持てず、仮処分を発令してくれません。したがって、日常の業務における書類の整備が迅速な回収に役立ちます。
また、担保になるような物の調査や保証人の確保は、「払え」「払えん」の関係になってからでは困難です。確実な回収ができるかは、円満に取引を行っている間の準備によるところが多いのです。
したがって、情報取得や契約書の整備については、紛争がない状況で弁護士に相談しておくのが合理的です。
2 未収が発生した場合
不幸にも未収が発生した場合は、考えられる回収手段をとりながらも、直ちに弁護士に相談してください。
当事務所のように倒産案件の経験のある弁護士であれば、相手方に倒産の可能性がどの程度あるかを推測できる場合があります。そして、倒産のリスクが高いと判断した場合には、相当のディスカウントをしてでも迅速な回収をお勧めし、「のんびり裁判しているうちに売掛先が破産して何も回収できなかった」という事態の回避に努めます。
また、何が迅速で、確実なのかを、売掛金の内容、相手の事業形態などから検討し、その時点で最適な回収手段をご提案できます。